病気のお話

アイコン大腸癌(3)

更新:2020/4/8

人工肛門

 

人工肛門は手術によっておなかの壁に便の出口となる腸を移してくることで、ストーマとも呼ばれています。当院には専任の看護師(WOC認定看護師)がいます。認定看護師により、人工肛門の可能性のある方には手術前に適切な位置に人工肛門がつくられるように位置決めをします。このことを“ストーマサイトマーキング”と呼び、術後のストーマライフにとても重要です。また、この専任看護師は術後のストーマケアに伴った種々の問題に対応しています。
当院にはストーマ患者さんの友の会である“松田会”があり、患者さんとスタッフによる定期集会と年に一度の小旅行を企画しています。ストーマをお持ちの患者さまとそのご家族に参加していただけます。

 

低侵襲手術

 

近年、“低侵襲手術”として腹腔鏡手術が注目されています。おなかの傷をできるだけ小さくして、カメラでおなかの中を覗きながら、特殊な手術器具を用いて行う手術です。当院では早期の結腸癌に対して行っています。“低侵襲手術”には腹腔鏡手術に分類されるHALS(Hand assisted laparoscopic surgery:ハルス)や開腹術に分類される小開腹手術もあります。手術療法は癌の根治が大原則ですので、担当外科医とよく相談して術式を決めましょう。(シェーマ8)

 

抗癌剤(癌に対する薬物療法)

 

抗癌剤治療は大きく分けると術後補助化学療法と進行・再発に対する化学療法があります。化学療法とは抗癌剤治療のことで薬物療法ともいいます。

術後補助化学療法
手術で癌が取りきれた場合に行う抗癌剤治療のことで、再発の予防が目的です。手術で取りきれたと判断しても目には見えなかった癌が残っているかもしれません。その目に見えない癌の息の根を止めて再発を予防する目的で行う抗癌剤治療のことです。ステージ3ではこの補助化学療法が積極的に行われています。しかし、見えない敵に対して行われること、しかもこの敵はいるのかいないのかもわかりません。雲をつかむような話ですね。

進行・再発に対する化学療法
これは見える敵に対する薬物療法です。手術で取りきれない癌がある場合、あるいは手術で取りきれた癌がその後に再発してきた場合に行われる薬物療法です。敵がみえるという意味でこちらの治療はわかりやすいといるかもしれません。

 

癌に対する薬物

いわゆる抗癌剤と分子標的薬と呼ばれる新薬を用いています。分子標的薬は厳密に言えば抗癌剤ではありませんが、目的は抗癌剤と同じで癌の勢いを抑えることです。分子標的薬もひとまとめにして癌に対する薬物療法と理解してください。
大腸癌に対する薬物療法は近年非常に進歩しました。しかし、癌を治せるほどには至っていません。もっとも効果があるといわれている薬物療法を行えば、以前は8か月の余命であった癌を24か月程度まで余命を伸ばすことができるようになってきました。
実際に用いられている薬物は分子標的薬を含めて5種類です。飲み薬と注射薬があり、薬の組み合わせと投与方法によりいろいろな“レジメ”があります。レジメとはお料理でいえばレシピのようなものです。お米と卵とトマトを用いればオムライスになるし、トマトの代わりに鶏肉を用いると親子丼になりますね。そんな感じで抗癌剤治療にもいろいろなレジメがあります。代表的なFOLFOX(フォルフォックスと呼びます)では5FUとエルプラットを用います。エルプラットの代わりにカンプトを用いるとFOLFIRI(フォルフィリ)になります。(シェーマ9)

→ 「大腸癌(4)」を見る

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