手術(大腸)

アイコン大腸がんの治療について -内視鏡治療-

内視鏡治療で治せるがんの場合はEMRやESDと呼ばれる治療が行われます。
進行の程度についてのところで大腸の壁の層について説明しましたが、内視鏡治療は深達度がSM(粘膜下層)までのがんが対象となります。理由はがんの深達度とリンパ節転移の頻度との関係にあります。がんは深くもぐればもぐるほど(“しんじゅん”とも呼びます)リンパ節への転移の可能性が高くなるのです。SM層よりも深くもぐっている場合には手術でがんのできた大腸と周囲のリンパ節を一緒に取り除くことががんの標準治療となっています。

このSMがんにはリンパ節への転移が疑わしいSMがんと転移の心配の少ないSMがんがあります。内視鏡による表面構造の観察と内視鏡で切除したがんを病理検査で詳しく調べることで転移の可能性を予測することができ、手術が必要か(“追加腸切除”と呼んでいます)、手術をせずに様子を見ていいのかを判断しています。“経過観察”と呼ばれています。
“内視鏡治療で治せるか”、“手術が必要か”は内視鏡診断にかかっていると言っても過言ではありません。当院ではこの内視鏡診断、治療を積極的に行なっている病院の一つで、年間55例程度の大腸癌を内視鏡で治療しています。

内視鏡治療の実際を示したシェーマです(EMR:内視鏡的粘膜切除)
内視鏡治療の実際を示したシェーマです(EMR:内視鏡的粘膜切除)

アイコン大腸がんの治療 -手術-

当院では年間600〜700例ほどの大腸内視鏡検査をさせていただいていることや近隣の先生方からご紹介いただくこともあり、毎年100~120例の大腸がん手術をさせていただいています。治療成績は5年生存率(手術をしてから5年後にどれぐらいの患者さんがお元気にされているかをみる一つの指標)で評価することが多いのですが、松田病院のステージ2の5年生存率は86.2%で他施設と比べて遜色のない結果でした。

手術適応

手術の大原則はがんの“根治”です。しかし、病気が進んでいてがんが手術ではとりきれない場合もあります。このとき、治療の主役は抗がん剤治療となり、手術はわき役となります(腸閉塞や出血予防目的)。手術で取りきれるか取りきれないかはCT検査などで判断します。このことを“手術適応”と呼んでいます。 手術では痛みや体力の低下などの負担が患者さんにかかります。その負担に見合った効果が得られる場合にのみ外科医は「手術適応がある」と判断し、手術をお勧めしています。

手術の目的

大腸がんの手術は、がんの摘出と周囲のリンパ節の摘出(これをリンパ節郭清といいます)が主な目的です。がんだけをえぐり取るようにして摘出するわけではなく、十分安全な範囲の腸を切ってそれをつなぎ合わせることになります。
がんはリンパ節へも順々に転移をしていくため、周囲のリンパ節も含めての切除が必要になります。がんの進行の状況などに応じて、どこまでのリンパ節を切除するのか、どのくらいの腸を切除するのかなどが決まります。

大腸がん図

手術の方法

近年、“低侵襲手術”として腹腔鏡手術が注目されています。おなかの傷をできるだけ小さくして、カメラでおなかの中を覗きながら、特殊な手術器具を用いて行う手術です。当院では大多数の症例でこの腹腔鏡手術をおこなっております。ただし、様々な条件により腹腔鏡手術ができない患者さまもいらっしゃいますので、担当外科医とよく相談して術式を決めていくことになります。

手術技術の進歩により肛門近くにがんができてしまった方でも人工肛門をつくらずにすむこともあります。個々の症例に応じて担当外科医と相談して決めています。この術式は肛門温存手術(ISR)と呼ばれています。

腹腔鏡(カメラ)

当院の手術室の様子
当院の手術室の様子

アイコン大腸がんの治療 -抗がん剤-

化学療法とか薬物療法といった表現もあり、これらはどれもほぼ同じ意味であると思って頂ければ良いかと思います。

大腸がんの治療の基本となるのは、内視鏡治療や、手術による切除ということになります。抗がん剤は?と言うとこれらの治療の手助けといった位置づけになってきます。しかし抗がん剤には良い点があります。それは、お薬ですのでからだ全体にいきわたるため、例えば肝臓や肺などに転移をしてしまったような時でも効果があるという点です。
また、目には見えないような小さながんに対しても効き目があるというのも優れた部分ということになります。ただし欠点もあります。正常の細胞や臓器にまで影響が出てしまう=副作用があるという点です。そして残念ながら大腸がんにおいては抗がん剤だけではすべてのがんを無くすということは不可能なのが現状です。

抗がん剤はどんなときに使用するのか

さて、大腸がんの治療において抗がん剤の出番はいつになるのでしょうか?
ひとつは手術を行う前に抗がん剤をおこない、小さくしてから手術をするといった「術前化学療法」というものがあります。

ふたつめとしては、手術後に再発を予防する目的で半年間の期限付きでおこなうことがあり、これを「術後補助化学療法」といいます。目に見えている範囲としては手術によってしっかりとがんを切除しているが、がん細胞のレベルで残っているかもしれない?すでに目には見えないような小さながんが転移しているかもしれない?といったものに対しておこなうことがあるのです。

みっつめは、転移や再発をしてしまった場合や手術では取ることが出来ないようなものに対しておこなう「切除不能進行再発大腸がんに対する化学療法」というものがあります。こちらに関しては可能な限りお薬の治療を継続していくということになります。がんの進行をなるべく抑えるためであったり、痛みや苦痛などを少しでも和らげてあげるということが目的になります。

抗がん剤の種類について

大腸がんに使用するお薬にはたくさんの種類があります。代表的なものとしては「5-FU系抗がん剤」というものや、「イリノテカン」「オキサリプラチン」といったものなどがあります。
さらに最近では分子標的薬といって、分子のレベルでがんを攻撃してがんが増殖していく事を抑えるようなお薬もでてきました。「ベバシズマブ」「セツキシマブ」「パニツブマブ」といったものが代表的なものになります。

大腸がんの治療の場合には、どれか一つだけを使用するということは少なく、これらのお薬をいくつか組み合わせて使うことが多いです。「FOLFOX療法」とか「FOLFIRI療法」、「CapeOX療法」といった投与の方法があります。これらに分子標的薬をプラスして行うことでさらに効果が見込めるようになってきました。

生存期間の延長

最近の進歩は目覚ましく、抗がん剤がなかった時代には平均的な生存期間は4~6ヶ月程度と言われていましたが、最近では2年以上と言われるようになってきました。
お薬との相性が良ければ、3年、4年、5年、それ以上、お元気で生活されていらっしゃる方も大勢いらっしゃいます。今後も新たなお薬の開発が期待されるところです。

抗がん剤の副作用

副作用についても少しお話しておきます。ご自身で分かるものとしては、「吐き気」や「食欲低下」「だるさ」といったものが一般的ですが、お薬の種類によっては「皮膚障害」といって手足がひび割れしたり、発疹がでる、皮膚の変色などといった症状がでることがあります。

また「末梢神経障害」といって手足のしびれ感が出たり、「脱毛」がみられる場合もあります。検査をしてみないと分からない副作用としては、白血球や赤血球、血小板などが少なくなってしまう「骨髄抑制」というものなどが主なところになります。
ただし、大腸がんに対しておこなう抗がん剤の場合は、他のがんに対する抗がん剤よりも比較的副作用は軽いことが多いです。

抗がん剤は主役にこそなれませんが、上手に使用すれば大変有効な治療方法の一つです。

抗がん剤の進歩により生存期間が延長

アイコン大腸がんの治療 -その他

放射線療法

直腸がんの再発抑制やがんの切除をしやすくする目的などでおこなう補助放射線療法と、切除ができない場合や再発などをしてしまった場合などに痛みの軽減や延命目的などでおこなう緩和放射線療法があります。
適応のある場合には近隣の放射線療法が可能な医療機関へご紹介させていただいております。

動注化学療法

おもに肝臓への転移がある場合に選択されることがあります。転移したがんの近くの血管内にカテーテルといわれる管を留置して、そこから抗がん剤を流します。全身への抗がん剤の投与よりも、目的のがんに対して濃い抗がん剤が投与できるため効果が期待できる場合があります。

熱凝固療法

マイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法があります。こちらの治療も当院ではおこなっていないため適応がある場合には適切な病院へご紹介させていただくことがあります。

ここまで説明してきました内視鏡治療、手術、全身化学療法(抗がん剤)、動注化学療法、放射線療法、熱凝固療法が「大腸癌治療ガイドラインにも示されている大腸癌に対する一般的な治療方法になります。

アイコン大腸がんの治療後の外来通院

手術後は先に説明させていただいた進行の程度(病期、ステージ)によっても間隔は変わってきますが、定期的な外来通院は不可欠です。2~3か月ごとの採血検査や半年ごとのCT検査や腹部エコー検査、1~2年ごとの内視鏡検査をおこない再発の有無をチェックしていくことになります。術後5年間が定期外来通院の目安の期間になります。

また、内視鏡治療を行った後については、再発を対象とした採血やCT検査などは基本的には不要ですが、定期的な内視鏡検査は必要です。

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