どのような病気か
肛門周囲から臀部、大腿の後面にわたる広い範囲に、しこり、うみ、瘻孔をもって、長く慢性的に経過する炎症です。痔瘻と違って一般的には肛門管との交通はありません。しかし、症状は少しずつ外方へ広がって、つぎつぎと排膿を繰り返すために、大変やっかいになってきます。そのたびに皮膚の色は黒ずみ、凸凹不整で、なめし皮のように硬くなっていきます。
どうして病気がおこるのか
ブドウ球菌、連鎖球菌が皮膚に化膿をおこすことが原因といわれています。皮膚のどの深さに感染がおこっているかによって、毛嚢性膿皮症、汗腺性膿皮症、皮膚付属器と無関係の膿皮症の三つに分類されます。
どんな現れ方か
発病する人の多くは、思春期のホルモン活動の活発なときから、臀部、顔面、背部などにも「にきび」様の化膿巣があり、20~30歳代になって徐々に拡大してくるようです。その間、切開排膿、抗生剤投与を繰り返し、そのつど、瘢痕を残した状態で治っていたようです。炎症がきわめて大きいときは、患者は皮膚科や整形外科を受診するようですが、肛門の周辺、臀部にとどまっているときは、痔瘻ではないかと、肛門科を訪れるようです。
経過は長く、きわめてまれにはがんが合併することもあります
病気を治す
治療は外科的切除、とくに皮膚全層を十分大きく切除することが大切です。しかし、皮膚の欠損が大きすぎると、修復されるまでに長期間かかります。
そこで、医師は明らかに硬い部分を選んで次々と円形に皮膚全層を切除します。そして化膿した皮膚の裏側から、皮下組織をひっかいてきれいに掃除します。そうすると、肛門から臀部にかけて大小多数の皮膚の穴が開いた状態となります。
そこで毎日傷を洗うと、どんどん肉が上がってきて、2ヶ月もすると自然に治癒します。
病巣が臀部全体に及ぶ場合は、半分ずつ切除して、肉が上げってから皮膚移植をする方法もあります。
注意しなければならないのは、皮下はアリの巣のようにトンネルがあちこちに走っているために、取り残して再発をおこさないようにすることです。また、あまり長く放置しておくと病変も拡大し、手術が大変ですし、皮膚がんが発生することもあります。早めに手術を受けることをすすめます。
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