便失禁でお悩みの方へ
下着を便で汚してしまう。トイレに間に合わない。他人には相談しづらい悩みでお困りになっている方はいらっしゃいませんか?
便をもらしてしまう状態を専門的には便失禁と呼んでいます。
日本にも便失禁で悩まれている方が500万人いらっしゃると推測されています。
しかし、実際に医療機関で相談される方はごくわずかです。相談しづらい内容であること、医療者側の関心が薄いことなどがその原因と考えられています。
松田病院では、主に専門外来(排便機能障害外来【毎週土曜日】)で、こういった問題でお悩みの方の力になれるよう診療を行っています。
医師だけではなく、看護師、薬剤師、肛門機能に精通した皮膚・排泄ケア認定看護師、栄養士なども症状改善のお手伝いをしています。お気軽にご相談ください。
便失禁に対して当院で行っている主な検査
① 肛門内圧検査:おしりをしめる筋肉(括約筋と呼んでいます)の機能をみる検査です。簡易式の内圧検査なら、受診日に行うことも可能です。
② 肛門管超音波検査:おしりを閉める筋肉(括約筋)に傷がないか(損傷していないか)を調べる検査です。括約筋断裂のチェックに有用です。
主な治療方法
① 食事指導:アルコール、カフェインは便失禁の原因となります。また、食物繊維の不足も失禁の原因となります。食生活の見直しのみで改善する方もいらっしゃいます。
栄養士があなたの食事内容を評価します。
② 薬物療法:便性のコントロールで多くの方は日常生活に支障をきたさない程度まで症状を改善することができます。食事療法とともに治療の基本となります。
③ 理学療法:骨盤底筋訓練や特殊な器械を用いて、肛門をしめる筋肉(括約筋)の機能を高めます。おしりの閉まり具合を目で見て確認できるバイオフィードバック療法が有効な方もいらっしゃいます。
④ 仙骨神経刺激療法:手術療法のひとつで、仙骨神経に電極を埋め込む治療法です。欧米で有効性が確認され、日本でも2014年4月に保険適用になりました。当院でも治療ができます。
⑤ 括約筋形成術:お産の影響などで括約筋が断裂している方は、筋肉を縫い合わせることで機能改善が得られることがあります。
⑥ アナルプラグ:特殊なプラグを肛門に留置し、ピンポイントで失禁を予防します。絶対に失敗したくない時に入れておくと効果的です。
⑦ 人工肛門造設:最終手段ですが、失禁により日常生活に著しい支障をきたす場合は有効な治療法です。漏らしてしまうことに対する心配や恐怖から解放せれることで日常生活の質(QOL)は大きく改善します。
文責 医師:田中 荘一
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