最近の性病の特徴
昔から性病は国を滅ぼす病気として恐れられていました。なかでも梅毒、淋病、軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫症は四大性病として古くからよく知られています。
ところが、最近国際化が進むなかで、似たような病気が種々増えてきました。
そこで四大性病を含めて、性行為によって感染するものを広く性病のなかに入れて、これらを性行為感染症(STD=Sexually Transmitted Disease)と呼ぶようになりました。
新しい考え方によって増えた病気としては、エイズ、尖圭コンジロームなど重要な病気が多数あります。
これらの病気に感染し、発病した場合、全身的な症状と局所的な症状が出現します。
例えば、梅毒におかされて陰茎や唇にびらん、潰瘍が生じることがあります。このような局所症状として、肛門やその周辺に病変が生じたものを肛門の性病と呼びます。
STDは一般に同性やあるいは異性との性行為によって感染します。最近の傾向として、アナルセックス、フェラチオ、クンニリングスなど性意識、性交の形が大きく変わってきたことが病気を助長しているようです。
感染の病原体としては、梅毒に代表されるトレポネーマ(細菌)、エイズや尖圭コンジロームにおけるウイルス、尿道炎をおこすクラミジア、毛ジラミ症における寄生虫など多数あります。
どのような病気か・どんな現れ方か
肛門病変として重要なのは、何といってもトレポネーマの感染によっておこる梅毒です。トレポネーマはらせん状の細長い菌ですが、梅毒をもった人との性行為(おもに肛門性交)によりトレポネーマが侵入します。
例えば同性愛者が肛門性交した場合、梅毒にかかっている人の陰茎を非感染者の肛門に挿入したとすれば、精液、陰茎粘膜より出たトレポネーマが肛門粘膜、肛門周囲皮膚から侵入し、肛門縁に切れ痔のような硬い腫瘍とさらさらした分泌物を生じます。
これを初期硬結といって、肛門性交後2~3週間で出現し、第一期梅毒と判定されます。確診は分泌物からトレポネーマを発見することによります。
病気を治す
症状として排便時の肛門出血、痛み、軽いはれがありますが、鼠径部のリンパ腺のはれ以外は全身症状はありません。
この時点でペニシリンの内服を2~6ヵ月続けると完治させることができます。
放置しておいてもはれは6週間で自然に消え、第二期梅毒へ移行します。この時期には全身に梅毒性バラ疹が現れてきます。
また、肛門周辺の皮膚にも大豆大の扁平な丘疹(扁平コンジローム)が多発、梅毒血清反応は強陽性となります。この時期は非常に感染力が強いために危険です。
第二期での治療も第一期と同様にペニシリンを使いますが、一年半の長期加療が必要です。
病気に気づいたらどうする・病気にならないために
肛門周辺の異常な変化に気づいたときは、早く専門医を受診してください。
性行為に際してコンドームをつけるなりして、危険に対する防備を十分にしてください。
また、主婦のなかにもクラミジア腟炎など性風俗の乱れの影響が忍び寄っているので、男女とも病気を拡散させないマナーが必要になってきています。
昭和51年ごろに押さえ込まれた梅毒が、最近は若者の間で急増し、第一期、第二期の顕性梅毒の形でぶり返していることもあり、十分な注意が必要です。
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